小学3・4年生のSTEM教育 具体的な取り組み事例
この学年では、主にビジュアルプログラミング言語(例:Scratch、Viscuitなど)を用いて、視覚的・直感的に操作できる教材が活用されることが多いです。
1. 教科と連携した事例
・算数
正多角形の作図(4年生):
Scratchなどのプログラミングツールを使い、「何度曲がって」「何歩進む」という命令を組み合わせ、正三角形や正方形、正六角形などの正多角形を作図します。
図形の性質(辺の長さが等しい、角の大きさが等しい)をプログラミングの数値として表現することで、より深く理解することができます。また、なぜ正しく描けないのかを考える過程で、試行錯誤を通じて論理的な思考力を養います。
・理科
電気の効率的な利用(4年生):
micro:bit(マイコンボード)や人感センサーなどの教材を活用し、**「人がいなくなったら自動で電気が消える」**といったプログラムを作成します。
身近な電気製品がセンサーとプログラムによって制御されていることに気づき、省エネのための仕組みや工夫を考えることができます。
・社会
郵便の仕組みの理解(3年生):
郵便物が集配され、仕分けされて届けられるまでの流れを、Scratchなどを使ってアニメーションやゲームで再現します。
郵便が届く**「仕組み」をプログラムの「順序立てた処理」**として捉え、理解を深めます。
都道府県を見つけるゲーム(4年生):
Scratchで、「地名」「気候」「特産物」などの都道府県の特徴ブロックを3つ以上組み合わせると、該当する都道府県が見つかるクイズ形式のプログラムを作成します。
社会で学んだ知識をプログラミングに活かし、表現する力を育みます。
・音楽
オリジナルの音楽づくり(3・4年生):
Scratchなどの機能を使って、太鼓や笛などの音色を組み合わせ、リズムやメロディのパターンを工夫しながらオリジナルの**「おまつりの音楽」**などを作曲します。
音の繰り返しや変化をプログラムで表現することで、音楽的な要素とプログラミング的思考を結びつけます。
2. 総合的な学習やクラブ活動での事例
ゲーム・アニメーション制作(3年生):
Viscuitなどのツールを使い、絵を描き、その絵が動いたり変化したりする簡単なアニメーションやゲームを制作します。
「メガネ」という命令の仕組みを使い、「絵が変化する」「絵が移動する」といったプログラミングの基本概念を感覚的に学びます。
ロボット制御の体験(4年生):
プログラミングで動く教育用ロボットやブロック教材を使用し、「特定のコースを進む」「障害物を避ける」といった課題に取り組みます。
プログラムが現実世界のモノを動かすことを体験し、試行錯誤を繰り返しながら、より効率的な動きになるようプログラムを改善していきます。
これらの取り組みを通じて、子どもたちは、論理的に考える力、課題を見つけ解決する力、そして創造性といった、現代社会を生きる上で不可欠な資質・能力を育んでいます。